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公演 「日本酒と健康−日本酒は癌(がん)に克つ!」
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滝澤行雄(国立水俣病総合研究センター所長、秋田大学名誉教授)
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*** 日本酒が、がん培養細胞の増殖を抑える ***
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| 適量であれば、アルコールは健康的な飲み物。とりわけ日本酒は、発酵による微量な成分にがんを抑制する効果があるなど、まさに「百薬の長」。平成10年度の日本酒大賞功労賞受賞者・滝澤行雄先生の公演は、日本酒の健康効果を再確認する興味深いものでした。 |
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★日本酒に発がん予防効果
酒はその国の文化の所産です。また医学的にみても、適量の飲酒は胃液の分泌を促して食欲を刺激し、さらに善玉コレステロール(HDL、高密度リポ蛋白)を増やして心筋梗塞や冠状動脈疾患を予防してくれます。最近の研究では、老化や痴呆の防止にも効果があることがわかってきています。
そればかりか、がんの抑制にも効果があるという驚くべきデータも得られたのです。
世界にさまざまな酒がある中で、とりわけ日本酒は、アルコールのほか有機酸、糖分、アミノ酸、ビタミンなど100種類以上の微量成分が含まれています。疫学的研究やがん細胞の増殖抑制実験で、これら日本酒の成分ががんの死亡率やがん発生のリスクを軽減するという研究の成果が相次いでいます。ここでは日本酒の発がん予防効果を中心にお話ししたいと思います。
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★日本酒を飲む人は肝硬変になりにくい
日本人の飲酒率は近年、上昇していますが、肝硬変、肝がんの死亡率は世界のうちでむしろ低率国群に属しています。
ただ、同じ国内でも、日本酒の消費量が多い東日本地域のほうが、西日本に比べて肝硬変や肝がんによる死亡率が低いのです。厚生省の資料によると、戦後の1969年〜1983年までの約15年間における「肝硬変・肝がんの性別・都道府県別標準化死亡比」は、両疾患とも性別に関わりなく「西日本に高く、東日本に低い」という地域差をはっきりと示しています。この地域差は肝がんよりも肝硬変で大きく、男性の中高年齢層ではいっそう明確になっているのです。
日本の肝硬変の主な要因は肝炎ウイルスとされ、欧米とは対照的にアルコールに起因するのは10%程度といわれています。その上、ウイルスの地域分布に東西間の差はとくに見られていません。
ここで、私たちは、最近10年間の肝硬変による標準化死亡比を都道府県別・酒類別に詳細に観察してみました。その結果、日本酒の消費量と肝硬変は、男女とも危険率1%の有意の負相関を示したのです。つまり日本酒を飲んでいる人は、肝硬変による死亡の危険がきわめて少なくなるという数値です。肝がんでもほぼ同様でした。
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★日本酒の微量成分ががんの増殖を抑える
これを踏まえて、さらにわれわれは日本酒の成分の生物活性についても実験を行いました。実験では、日本酒から得られた成分そのままの抽出試料と、濃縮試料の2種を用い、5段階の濃度に調整。それを膀胱がん、前立腺がん、子宮頚がんそれぞれの培養細胞プレートで24時間培養して細胞の変化を観察したところ、いずれの試料もがん細胞の増殖を抑制する細胞毒性作用が見られました。とくに64倍まで薄めた濃縮試料では、がん細胞の90%以上が凝縮または壊死(えし)していたのです。
ウイスキー、ブランデーから得られた試料でも同様の実験を行いましたが、どちらも日本酒にあるようながんの増殖抑制効果はほとんど認められませんでした。
また、日本酒に人工アルコールを加えると、その活性は3分の1ほどに低下しました。このことからも日本酒中の微量成分に量・反応の効果があることがわかります。
さらに、日本酒のどの成分ががん細胞の増殖抑制を示したかを調べたのですが、日本酒に含まれるアミノ酸、糖類といった低分子量の成分にがん細胞の萎縮・壊死を示す効果があることも判明しました。
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★毎日飲酒する人は、「発がんリスク」が低い
こしたいわば試験管中の実験結果が人体にはたして適用できるのか…これについてはすでに日本酒におけるがん研究の第一人者であった国立ガン研究所の故・平山雄先生が重要な研究結果を1978年に発表しています。
これは、全国から選ばれた健康な成人265,118人について、さまざまながんの危険因子を16年間にわたり継続観察した息の長い調査です。
これによると「毎日喫煙・飲酒・肉食をし、しかも毎日緑黄色野菜をとらない」グループががんの最高危険度を示しました。しかし、興味深いのは、「喫煙・飲酒・肉食を毎日せず、緑黄色野菜を毎日とる」という節制型のグループはがん危険度は最低ですが、この群に「毎日飲酒する」を加えても、その発がんリスクにほとんど差がなかったことです。
さらに平山先生はこの集団調査結果から、「毎日飲酒する」群が、非飲酒群に比べて胃がんや腸がんのリスクが低いことも明らかにし、われわれの実験の成果を支持しています。また、日本が進めるがん戦略10ヵ年計画の一環として、文部省の「がんコホート班」研究があります。現在継続中ですが、これまでの40歳以上の125,760人を対象にしたがん死亡調査で、1987年から92年までの5年間における全死亡者2,377人中、がんによる者は760人で、全がん、胃がん、肺がんおよび肝がん・肝内胆管がんすべてにおいて、毎日飲酒者のほうが非飲酒者に比べて、男女とも低いことが、中間報告ではあるものの、明白になっています。
以上、述べたように日本酒は、心筋梗塞や肝硬変、肝がん、消化器系がんなどを予防する効果がある飲み物だということが分かりました。
しかも、おかずと共に楽しみながら飲む「晩酌」という日本酒ならではの飲み方は、健康効果と結びつく素晴らしい習慣。適正飲酒を守れば、大脳皮質を刺激してストレスを解消、心の緊張をほぐし、明日の仕事の能率を保証し、精神に活力を与えてくれるまさに「百薬の長」といえるのではないでしょうか。
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◆◇日本酒ミニ知識◇◆ ”糖尿病と日本酒、直接の関係はありません”
アルコールは1gにつき7キロカロリーあり、これはどんなお酒でも同じ。糖尿病に、日本酒の糖分がよくないとか、日本酒はカロリーが高いから、などという意見がありますがそれは間違い。むしろ日本酒には、血糖値を下げるインスリン様の物質が含まれていることが解明されています。
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