 |
日本酒の直接の原料は米ですから、米のよし悪しが製品の優劣に直接影響を与えることはいうまでもありません。酒造りに最も適した好適米は、日常私たちが食べている米の品種とはまったく異なり、酒造りの目的のためにつくられた品種です。
蒸して軟質なもので、粒が大きく、心白(米粒の中心部にある白いうるみ)のあるものがよいとされ、山田錦が代表的なお米です。 これらの酒造好適米の栽培は、昼と夜の温度差が大きい、山よりの傾斜地で、水がきれいな所が最適であり、一般にいう多収穫米の産地でないところでつくられています。従って収穫量こそ少ないが、米に力のある大粒米となるので、高価な米なのです。 |
| ところが、いくらよい米を使っても、精米するときの米の磨き(
糠をとる量) が悪くては、米のよさが出ません。普通私たちが食べる米は、玄米から糠 を10%削り取ったものですが、酒造用の場合は、30%も糠をとってしまいます。糠の部分には、酒造りに適さない多くの成分例えば、タンパク質・脂肪が有るためです。大吟醸では35%になるまで磨いた米もあります。
この酒造好適米の精米を精米会社に任せるのではなく、すべて私どもの工場内の精米場で精米しています。最近では委託精米が増えていますが、やはり原料処理は自前ですべきだと思います。
島根県の酒造好適米の使用率は全国トップクラスで、また西日本有数の産地となっています。 米の銘柄としては「五百万石・改良雄町・幸玉・山田錦・神の舞」があります。
| | | | |
 |
お酒の原料は「お米と水」ですが、これに杜氏の手が加わり日本酒が出来るわけです。お酒は良い水から生まれると言われるように、古来,銘醸地と言われる所には必ず名水が存在しております。
日本酒は80%が水でありまして、当然「水の質の善し悪し」が日本酒に影響を与えることになります。 硬水、軟水でお酒の味は左右されるものですが、水の質から酒の質がおおよそ想像出来る現在は、酒造技術が進歩しそれぞれの長所を伸ばし、欠点をカバー出来るようになっております。
世界の酒の中でも、日本酒ほど水を厳しく選ぶ酒はありません。日本酒に使用される水は「水道水の水質基準」を充たすことはもちろん、酒造りに必要な微生物の育成、糖化、発酵に影響のある無機塩類を適度に含むことが求められます。
こうじ菌や酵母の増殖を助けるカリウム、リン酸マグネシウム。それに酵素作用を促進するカルシウム、クロールなどの有効成分を適度に含んでいるのが大切です。この無機成分はほとんどお米の中にも含まれております。
また、酒造用水で一番好ましくない成分は鉄分で、水道水の基準より相当に厳しく管理されています。鉄分はマンガンと共に、日本酒の色を濃くし、香味も劣化させ、最も嫌われる成分です。お酒を入れるのに鉄びんを使いますと、冷やのときは大丈夫ですが、これで燗をしますとお酒は赤褐色に着色し、香味が劣化します。
松江周辺から沸出する水には鉄分、マンガンなどの有害成分がほとんどなく、適当な硬度とクロールを含み、最近人気の高い吟醸酒、純米酒造りに大変適した水と言えます。
水源の汚染というのは切実な問題で、伏流水や井戸水が汚染されてきたので、水道水を使っているところもかなりあります。水道水は水道法で水質基準が定められており、醸造用水としての条件よりもゆるやかですが、実際には、鉄、マンガンの含有量が少なく酒造りに適した水も少なくないようです。 |

| 十数年前までは松江の市街地の井戸水を仕込み水として使っていましたが、どうしても市民生活の影響と受けるようになり思い切って郊外に水を求めることにしました。つまり井戸水が汚染されているということです。
例えば白蟻駆除の薬、洗剤など、また生活の雑用水、我々の生活レベルが上がれば上がるほど、汚染が進むので考えなくてはなりません。 現在の水は松江市郊外にある山の麓、ここは急な斜面で当分は開発されそうにない場所で竹藪の下の岩の間からこんこんと沸き出ている湧水で、地下深くから出ているらしく温度変化が少なく、夏は冷たく冬は湯気が上がっています。
この場所まで、酒造工場からは車で約20分、毎朝夕お酒の仕込み時期(11月から4月まで)になりますと、タンクローリーでこの水を取りに行っています。この水は酒造りに適しており、ふっくら旨いお酒が毎年出来上がっています。天の恵みの水に感謝するとともに、大切にあつかわなくてはならないと思っております。
| | | | |
 |
全国的には南部杜氏、越後杜氏、丹波杜氏、能登杜氏,出雲杜氏などいろいろな杜氏がおり、それぞれ酒造りの流派を作って独自の技術を誇っています。
蔵人は、出身地で杜氏組合を結成し、酒造りのない夏期などには講習や研修を受けています。農業、漁業の人が多いです。 出雲杜氏は主に松江市、平田市が中心です。島根県はもちろん鳥取県・山口県・広島県・遠くは四国まで酒造りに出かけています。また石見杜氏もいます。
よく酒蔵の杜氏たちと言われますが、正式には杜氏と蔵人達といいます。杜氏とはいわゆる工場長で、杜氏の下には役人(やくびと)以下蔵人がいます。役人には杜氏の補佐役の「頭」、酒母をつくる「もと師」、麹を造る「麹師」があり、その他精米を受け持つ「精米師」、蒸米をつくる「釜屋」、もろみをしぼる「船頭」、など階級があり、酒つくりの統制が取られています。杜氏さんは、その蔵人の組織のトップにいる人で、出雲地方では「おやっさん」、「おやっつぁん」と呼んでいます。杜氏は技術者というだけでなく、統率力、判断力、管理能力のある人格者であることが求められます。 |
|
|
| |