松江の銘酒、豊の秋 - 「豊の秋」醸造元 米田酒造株式会社

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蔵人は今

ハワイと日本酒

2013年9月13日

こんにちは、野田です。
先日「お知らせ」ページでお伝えしたハワイ・ホノルルでの全米日本酒歓評会とJOY OF SAKEに続き、9月26日はニューヨークが会場となります。
JOY OF SAKE ニューヨークでは米田酒造専用ブースも登場しますので、ゆっくりと豊の秋を味わってもらえるのではないでしょうか。
またJOY OF SAKEでは、通常すべての出品酒がテーブルに並んだ状態の「コールド・サケ」で提供されますが、ブースで提供する予定の「特別純米 雀と稲穂」は燗つけますよ!旨い酒を旨いと思ってもらえる状態で。
一升瓶と酒燗器を抱えて駆けつけますので、ぜひ最高のコンディションで楽しんでください。

 
全米日本酒歓評会2013「豊の秋 大吟醸斗びん取り」金賞受賞とジョイ・オブ・サケ開催のお知らせ

 

ところでハワイで日本酒と聞いて「なぜ?」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。常夏の島で観光地、飲み物と言えばピナ・コラーダとコナ・ビールといったイメージながら、実はハワイは世界有数の日本酒が楽しまれている場所であり、世界に日本酒文化を発信し続けている場所でもあります。

JOY OF SAKEの主催者である国際酒会は1987年にハワイで設立されました。国際酒会の活動は、“For the Sake of Sake”(「酒」と「~のため」を意味する語の洒落)であり、日本酒の素晴らしさを広く知ってもらい、楽しんでもらうために行われています。多岐にわたる活動のなかでも、ハワイで始まったJOY OF SAKEは徐々に参加者を増やし続け、ハワイからサンフランシスコ、そしてニューヨークへと展開し、2010年には東京でも開催されるようになりました。8月に行われたJOY OF SAKE ホノルルでの入場者数は1500人。日本国外で行われる一般参加型の日本酒の試飲イベントとしては最大規模だと思います。

こうした多くの日本酒ファンを魅了し、海外における日本酒文化の普及のために尽力される活動が評価され、2012年12月には日本の外務省より、外務大臣表彰を受賞されました。また今年の3月にはハワイ州議会より、ハワイでの日本酒文化の推進活動による表彰がされ、同時にホノルル州議会からは、多様な文化を持つハワイ州都の発展に貢献したことによる感謝状が贈られています(写真)。

とても個人的な実感ではあるのですが、JOY OF SAKEの会場に来られた方と、「このJunmaiはスムースだね、ToyonoakiのDaiginjoはあるの?」という話が当たり前のようにできる環境があったことに、国際酒会の方々のこれまで地道な努力を感じ、胸が熱くなるような気がしました。海外への輸出が伸びているとはいえ、日本酒の海外シェアは1%未満。世界的に見れば日本酒はまだまだマイナーなアルコール飲料なんですよ。

 

もうひとつお話ししたいのが、ハワイはいまの日本の酒造りに欠かせない近代醸造技術の礎を築いた場所だということです。

かつてハワイでは酒造りが行われていました。ホノルル酒造という、創業1908年の海外では最も古い酒造会社です。

国内で泡なし酵母発祥蔵といえば「七冠馬」の簸上清酒さんですが、それ以前にホノルル酒造で泡なし酵母(二瓶さんによれば正確には「"殆ど泡の上がらないもろみ"となる"低泡酵母"」とのこと)が発見され、実際にこの酵母を使って酒造りが行われていたようです。また「火落ち菌」による腐造対策のために活性炭を使う技術や、現在主流のステンレスタンクはホノルル酒造でいち早く導入され、ハワイからの逆輸入という形で日本の酒造会社へと広まっていきました。同じく、年間を通して冬期の環境で酒造りを行う四季醸造蔵の設備も、温暖なハワイの気候で酒造りをするためにホノルル酒造で始まった「蔵全体を冷蔵庫に」という発想が元になっているそうです。安定して高品質の日本酒を造るための課題を日本国内よりも先にクリアし、酒造りを革新させていったのがホノルル酒造でした。

そしてこのホノルル酒造で杜氏として、酒造技術者として活躍されていたのが二瓶孝夫さんでした。先に紹介したホノルル酒造での数々の革新も、二瓶さんによるものです。二瓶さんの酒造りからは常に新しいものに対する挑戦や、革新していくことの重要性を感じます。この時代に海を越えて異国へ渡るという度胸もさることながら、日本酒という文化のないところで、なおかつ日本とは異なる環境から様々な情報を得て、それを酒造りに取り入れていったことは大変な偉業ではないでしょうか。
 二瓶さんとは国際酒会設立前からの付き合いだという方によると、二瓶さんは酒造りに対する思いや知識だけでなく、その人柄も素晴らしい方だったとのことです。「二瓶さんのまわりにはいつもたくさんの人が集まっていたよ」という言葉のとおり、JOY OF SAKEは二瓶さんの功績を讃えて開催され、パンフレットには名前が記載されています。

いまでこそ海外の多くの場所でSAKEが認知されて飲まれていますが、日本で國酒キャンペーンが大々的にされるよりずっと昔に、「ニッポンの酒」として海外で酒造りが行われ、日本の誇るべき文化としてその普及のために尽力していた方々がいらっしゃったことは頭が下がる思いです。

 

帰国後、ホノルルの酒屋さんで購入した純米酒「宝正宗」を飲みました。「宝正宗」はもともとホノルル酒造の銘柄でしたが、現在は米国宝酒造さんが引き継ぎ、カリフォルニアで酒造がされています。できることなら二瓶さんが造られたハワイの日本酒を飲んでみたかったという気持ちがあるものの、カリフォルニアの「宝正宗」からも、どことなくハワイで生まれたサケ・スピリットみたいなものが感じられるような気がします。機会があれば、是非飲んでみてください。SAKEの歴史に思いを馳せながら、アメリカの日本酒で一杯やるのもなかなかいいですよ。

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