松江の銘酒、豊の秋 - 「豊の秋」醸造元 米田酒造株式会社

0852-22-3232

蔵人は今

島根県きき酒競技会

2016年5月31日

こんにちは、野田です。
先日は大田市で開催された第14回島根県きき酒競技会に参加してきました。昨年までは酒造りを専門にしている蔵人が中心に参加していましたが、今年は瓶詰め場の若手エース、田淵と共にチャレンジです。お酒に携わっている人間ですので、様々な機会や形式できき酒をしていましたが、オフィシャルルールで点数化されるきき酒はふたりともこれが初めてです。がんばります。

まずは本番に向けての直前指導ということで、きき酒のプロフェッショナル齋藤さんにレクチャーを受けます。きき酒の基本から、ちょっとしたテクニック、「独特の雰囲気にのまれないように」というメンタル面での心掛けも。競技ということもあり、なんとなくアスリート的な感じです。
kikishu1.JPG
きき酒のルールを簡単に説明すると、次のようになります。
①第1審で40分間、市販の純米酒15種類をきいて、好みの順に番号をつける。
②第2審は30分間、同じ15種類の酒をきいて、好みの順に番号をつける。
③第1審、第2審のマッチングと、好みの順の誤差を求め、0に近いほど高得点。

練習では本番とほぼ同状況で6種類のマッチングをしました。ビギナーズラックでしょうか?すべてをぴたりと当てて最高点を獲得。使用したのが自社のお酒なので当然といえば当然なのですが...それでもけっこう自信になります。柴田さんからもアドバイスをいただいたり、松江市内の某居酒屋さんでも極秘トレーニングをさせていただいたりと、各所でお世話になりました。感謝です。

いざ、きき酒競技会当日。今年は中国五県の大会の開催地が鳥取県とのことで、同県の純米酒15銘柄が並びます。
kikishu4.JPGkikishu3.JPG
集中してひとつひとつに向き合うと、時間の経過が早いですね。
教えてもらった内容を思い出し、メモに残そうとあくせくしていると、きき酒用紙が手汗で次第に湿り気を帯びてきます。
kikishu6.JPG

採点を終えどきどきしながら結果発表。上位5名が表彰されます。
kikishu2.JPG
結果は、チーム米田酒造のふたりはランク外......ご指導いただいた皆様、すいません。力不足でした。
初出場の率直な感想を申しますと、難しい、のひとことです。なかなかいい線いくんじゃないかと開始前までは期待をしていましたが、15種類をきく時間配分が悪く、一度迷ってしまうとドツボにはまってしまいます。練習のとき6種類程度を当てて喜んでいたことを今になって恥じます。日本酒だけに、糠喜びとはこのことです。

気を取り直して、競技会のあとはきき酒のワンポイントレクチャーとセミナーがありました。
競技で使用したお酒の解説をしながら、オフフレーバー(欠陥臭)の原因と最適な対処方法、貯蔵時の管理についての留意点などを聞きました。蔵の個性・味わいみたいな謳い文句で片付けてしまえばそれまでですが、きちんとその根拠を探り、例えば醗酵不良だったり微生物汚染だったりという製造過程での問題にいきつくと自社の製品のことも考えさせられます。反対に、原因が悪いことでなければ、ちょっとぐらいオフフレーバーがあるのも日本酒のバリエーションが増えてそれなりの良さや価値になるのでは?ワイン業界の表現では「猫のおしっこ」だの「濡れた犬の毛」だの「牛小屋」だの、どう考えても口に入れるのが憚られる香りが標準的な表現になっているくらいなので、日本酒も「すっきりフレッシュ!」みたいな定番フレーズばかりでなく新しい表現での提案ができそうな気がします。

特に先生方のお話で気になったのは、オフフレーバーのサンプル酒として登場したなかのひとつ、4VG(4ビニルグアイアコール)。
きいてみて思ったのが、個人的に嫌じゃない香りです。このタイプの香りを含む日本酒を口にすることがときどきあったので調べてみると、4VGを意図的に生成させるアルコール飲料もあるようです。ビールではドイツのヴァイツェンやベルギーのホワイトビールの個性として知られており、ウイスキーの香りにも含まれています。ただし原因のひとつとして、野生酵母や乳酸菌などの変換が絡んでくるものなので、日本酒のコンテストの場での評価としては「製造環境が不潔だと混入する」→オフフレーバーとなるようです。欠点をなくし、無駄を削ぐという考え方での造りでは確かにマイナス要素かもしれません。では今度はオフフレーバーと呼ばれるものをすべて排除したら...
正解がひとつでないだけに、好みの分かれる嗜好品としての評価と、醸造上の観点からの評価の違い、とても興味深いです。

日本酒への理解が深まったような、よりわからなくなってしまったような、そんな1日でした。