松江の銘酒、豊の秋 - 「豊の秋」醸造元 米田酒造株式会社

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蔵人は今

美保関町探訪

2016年7月7日

こんにちは野田です。
そろそろ梅雨明けでしょうか。いよいよ夏真っ盛りですね。まとまった夏休みはなかなか取れないものの、夏といえばやっぱり夏休みを思い浮かべるので、週末に出掛ける先を決めるのにもなんとなく気合が入っています。
夏休みのご旅行を計画中の皆様、今年の夏はぜひ島根へ!松江エリアであれば国宝・松江城や宍道湖クルージング、窯元巡りや茶室で一服も良いですが、ちょっと足を伸ばしてディープな美保関の旅はどうでしょう?

松江市内から東へ30kmほど車を走らせると、日本海と美保湾、中海の3つの海に囲まれた港町、美保関に到着します。
古事記や日本書紀に記された国譲り神話の舞台でもあり、全国三千余社のえびす様の総本宮である美保神社や世界の歴史的灯台100選に選ばれた美保関灯台など見どころ満載です。小泉八雲や与謝野晶子など多くの著名人も訪れ、過去にこのブログでご紹介した浮世絵師の川瀬巴水は美保関の風景を作品に残しました。
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川瀬巴水 「旅みやげ第三集 出雲 美保ヶ関」(島根県立美術館所蔵)

こちらが現在の様子。当時とはかなり海岸の風景が変わっていますが、いまでも石灯籠は現存しています。
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美保関漁港に到着するとまず目につくのが、日本海で水揚げされたイカを軒先で天日干した屋台。甘辛い醤油ダレをつけて焼いた肉厚のイカは美保関のソウルフードとでもいうのでしょうか。写真では「顔出しはNGよ」と恥ずかしげなおばちゃんたちですが、会うたびに熱烈な歓迎をしてくれます。高浜虚子の詠んだ「烏賊の味忘れで帰る美保の関」に倣い、忘れずに食べていただきたい味です。
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ちょっと通りを歩くだけでもノスタルジックな雰囲気になります。海の石を敷き詰めて作られたという青石畳通りは、雨に濡れるとうっすらと青みがかったように見えます。観光するなら晴れた日が良いのに越したことはないですが、雨の日ならではの楽しみがあるのも嬉しいですね。残念ながら、この日は晴天。
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細い路地も風情があります。この路地を抜けると島根県初の国登録有形文化財に指定された老舗旅館「美保館」のエントランスへ。建物内観は古い映画に出てくる世界そのままのクラシックな佇まいで、大正ロマンの薫りが漂います。結婚披露宴会場としても人気で、美保神社での挙式の際は美保館本館前から番傘と雅楽の盛大な花嫁行列が再現されます。他にも美保湾を眺める新館での絶景屋上露天風呂、朝水揚げされた海鮮尽くしの会席料理など、ゆっくりと堪能するなら日帰りはもったいないくらいです。お酒好きな方々には、専務さんが新しい美保関の名物をつくろうと企画された美保館さんオリジナルの鯖の塩辛もぜひ。
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創業120年の老舗「福田酒店」は、古き良きを知る角打ちスタイルを楽しめる酒屋さんです。
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福田酒店さんでは昼間から近所の人たちが集まって一杯やるのが日常です。乾き物をつまみ、いぶし銀の輝きを放ちながらカウンターに寄り掛かる渋いおじさんに憧れます。バルのようにおしゃれに角打ちが楽しめる酒屋さんが改めて増えつつあるなか、たまにはどっぷりローカルな匂いのする角打ちも良いかもしれません。ちなみに漁師町の美保関では角打ちを「とも(船尾のこと)つけ」と呼ぶとか。
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美保関、いかがでしょう?
かつては「風待ちの港」として賑わい、人・文化・モノが行き交うメインストリートだった海への玄関口として繁栄した美保関です。ここだけではお伝えしきれないことがたくさんありますが、多様なものがこの地に集まり、あるいは反対に発信拠点としてあらゆるものを世界へ送り出してきた歴史のバックグラウンドが風土として根付いているように感じます。のどかで小さな港町では片付けられない、この地で暮らしてきた人たちの心意気のようなものでしょうか。
こういうものに心動かされて生まれた『美保』というお酒があります。この話はまた次回。