酒蔵はいま | 2020年12月29日
前回のブログで「しぼり機」をご紹介しました。モロミを搾ったらできるのがお酒と酒粕です。
しぼり機の圧力を解くと、板と板の間にベッタリと張り付いているのが酒粕です。
これをヘラを使ってはがして、次の酒しぼりに備えます。
酒粕はベリベリっと足元の容器に剥ぎ落していきます。
しかし今日は、綺麗に整った酒粕をとれ!ということなので、ひと手間かけます。
形を崩さずにほどよい大きさで剥がせるよう、切り込みを入れてから、そうっと剥がしていきます。
これはなかなかの厚いのが取れましたよ。
仕込みの大きさ、モロミ(お米)の解け具合、お酒のランクによってしぼり機を調整するので厚さや質感はモノによって変わってきます。吟醸酒の酒粕は、しぼりの圧力が弱めなので酒気が多く、吟醸香と言われる果実のような甘い香りがします。が、溶け残ったお米の粒のザラザラとした感じが残ります。一方、上撰のようなお酒の酒粕は、お米がしっかり溶けてるので、料理に使いやすいなめらかでしっとりとした質感になります。
なん十枚とあるしぼり機の板から二人掛かりで何百キロという酒粕を剥ぎます←しかもちゃんと重さを計らないといけない。
さらに型でくり抜かれて「板粕」という商品となります。とくに断りがない場合は、吟醸酒ではない方の酒粕になります。
そしてなんとこの「豊の秋」の酒粕が、フレンチの三ツ星シェフ監修で絶品パスタソースになりました。どうぞお試しください!
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酒蔵はいま | 2020年12月15日
令和2酒造年度の新酒1号を本日しぼりました。
今年の米は硬いってことでキレがよく、スッキリしたお酒になるような傾向です。
さてお酒ってどうやって搾るの?という話になるのですが、ひとつはこのような装置を使います。
薮田式自動醪搾機、現場では「ヤブタ」と呼んでいます。
一本の蛇腹をぐっと押して搾り出してるように見えがちですが、じつはバラバラの板に分かれてます。この板と板の間にモロミが入ります。
板は圧縮空気を入れて風船のように膨らむようになってます。膨らんだ板に押されたモロミは、板にかぶせてある布で漉されて澄んだお酒として染み出してきます。
外から見てても動きがないのと、スイッチポンで済んでしまうのでこれといった見どころはございません。この場面を取材に来られると申し訳ない気持ちになります(笑)。ただスイッチポンに到るまでに、板や布を一枚一枚洗ったり金具を取り付けたりといった準備に時間を取られます。
最初のうちはポンプでモロミが詰め込まれていく圧力だけでお酒が漉されて染み出してきます。布がまっさらなので、布の目をすり抜けた固形物でちょっと濁ってます。「あらばしり」という部分です。
布の目が詰まってくると、澄んだ山吹色のお酒が貯まっていきます。発酵による炭酸ガスを含んだピチピチしゅわしゅわしたお酒に触れられるのは蔵人の醍醐味です。