(もろみ)
 醪は清酒醸造の最も重要な工程であって、麹や酒母の品質あるいは原料処理の重要性も全てこの醪を計画通り発酵させ、目標にかなった清酒を醸出させるためのものと言えます。
 本工程に入ると醪自体に人為的な作業を施すことはありません。 醪期間(*1)中は理想の品温経過をたどるようにその温度に導いてあげることが重要です。
 現場の熟練者は、状貌(*2)によって醪の発酵状態を把握することができます。視覚や嗅覚によって瞬時に正常であるか否かの判断を下すため確かに能率が良いと言えます。しかし、体調が悪くて鼻がきかないという場合、気温が毎日まちまちである場合、人によって見方が異なる場合、使用酵母が「泡なし酵母」の場合(泡の出方が少ないため判断困難)など様々な条件が予想されるため科学的な管理(成分分析)も行われています。
 この成分分析を行うことによって客観的に進行状態を把握し、遅れている場合は進めるように次の手当てを考えます。また、毎日または隔日に分析を続けることによってその手当てが有効であったかどうかをも確かめることができます。更にその遅れた原因が麹にあるのか、酒母にあるのかといった原因を究明するための手がかりにもなります。

*1:醪期間−留仕込終了から上槽までの日数。だいたい15日〜22日が多いが、吟醸酒になると30日を超えるものもある。
麹の老若、仕込み水の硬軟、仕込配合、醪の温度経過、原料米の精米歩合、酒母の性状等によって長短がある。特に気温にも左右され、醪の品温により低温長期型と高温短期型に分けられる。
*2:状貌−醪の発酵の進行状態をあらわすもの。
変化は、筋泡(すじあわ)→水泡(みずあわ)→岩泡(いわあわ)→高泡(たかあわ)→落泡(おちあわ)→玉泡(たまあわ)→地(じ)となる。