『杜氏さんの言葉に学ぶ』より引用【著者:国税庁醸造研究所 伊藤 清氏】

 先に示した実験結果と香りの変化の結びつけて考えれば次のようになるのではなかろうか。仲仕事時には菌体増殖が最も盛んで揮発成分の生成量が多く成分的には青臭く感じられるものが主体えある。仕舞仕事時にはこれらの成分は減少するので香りが質的に変化し栗香が感じられはじめる。またこの時期から1‐オクテン‐3‐オールが増加し続けるので出麹時期を過ぎるころからキノコ香が感じられる。栗香の本体については現在のところ解明していない。
 香りが変化するということは麹菌の生理が変化していることを示している。1‐オクテン‐3‐オールが麹培養の後半に出現するということは、麹菌のエージ(老化)と関係があると思われるが、この物質を感度よく捉えれば出麹時期の判定に利用できるかもしれない。杜氏は経験的にこのことを行っていたのである。

麹の香りを嗅ぐ

仲仕事

仕舞仕事

出麹

「室仕事(むろしごと)」、「出麹(でこうじ)」の工程→[日本酒のできるまで]
分からない用語→[日本酒用語辞典]