『杜氏さんの言葉に学ぶ』より引用【著者:国税庁醸造研究所 伊藤 清氏】

 仲仕事時には菌体増殖が最も盛んとなるが、製麹工程を考えるとこの時期に麹はまだ厚く盛られているし、自動製麹の場合でもこの時期には温度があまり上昇していない通風量は殆どないのが普通である。そうすると酸素濃度不足になることが十分考えられる。そこで酸素の有無と揮発成分生成の関係について検討してみた。結果を第7図に示したが酸素が不足すると揮発成分、特にアルデヒドの量が顕著に増加することがわかった。この点について考察すれば次のようになる。先に述べたとうり仲仕事前には麹は酸欠状態になっていると考えられる。この時麹はアルデヒドを主成分とする揮発成分を多量に放出する。これを杜氏が感じとり、仲仕事を行い酸素を供給してやるということになるのではないだろうか。擬人的な表現をすればオハグロ臭は麹菌の悲鳴である。やはり麹の香り(揮発成分)は重要な情報源であった。

第7図 酸素の有無と揮発成分

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