松江市末次本町に本店を構える「高見一力堂」(高見和雄社長)は創業約二百五十年、松江藩主の御用菓子商を務めていた老舗の和菓子店である。松江藩七代藩主松平治郷は不昧の号で風流茶人として知られており、同社は不昧公好みの和菓子を製造してきた。
代表的な和菓子「姫小袖」は藩主の用命時にのみ作られる菓子として伝えられたものである。厳選された和三盆と皮むき餡で作られる打ち菓子は繊細な味わいの和菓子である。
2003年2月、今までの進物用ではなく手軽におやつとして食べていただけるものを作ろうという営業スタッフの発案から同社専務高見雅章氏を中心に社員全員が取り組んだ。素材にこだわり、職人の丁寧な手仕事によって和菓子を製造する姿勢には変わりないが、親しまれる商品によって購買層を広げたいという思いがあった。伝統を守って和菓子作りに取り組んできた老舗の新しい挑戦の第一歩であった。 |