「地伝酒どら焼き」が誕生するまでの物語。
〜 地伝酒どら焼き試作 〜

 どら焼きは卵、小麦粉、砂糖の他にみりん、重曹等を加えて配合する。地伝酒は赤褐色の熟成香のある酒で、これをどら焼きに使用するのは製造スタッフの中にためらいの声もあった。とりあえず「実験」として生地に混ぜ、ミキサーにかけた。焼く前に試食すると、生の生地は香りも良くカラメルソースのような旨みのある液体になっていた。これはもしかしたら化けるぞと期待もふくらむ。焼き上げてみて驚いたのは、どら焼き特有のこげ茶ではなくきれいなきつね色に仕上がった事だった。心配したアルコール分の残存も、どら焼きの生地はカステラほど厚くないので焼成時に飛んでおり、社長、専務、工場長の下戸の三人組が試食しても問題なく安心した。
 更にレシピを完成に追い込むため、「柔軟剤あり・なし」、「地伝酒のみ」、「地伝酒とみりん」、「みりんのみ」 の様々な組み合わせで試作を作ってみた。従業員全員で試食してみたが、柔軟剤を加えず地伝酒のみを使ったサンプルが最も良かった。一般的にどら焼きの中にはみりんを加えるが、みりんを入れると焼き色がこげ茶になり、地伝酒だけの時のようなきれいな焼き色に仕上がらなかった。地伝酒という新しい素材との出会いが和菓子の常識を変えたといえる。
 日持ち検査のために、製造10〜50日で試してみたが50日経っても違和感なく柔らかいのには作った本人も驚いている。地伝酒を使って調理すると日持ちがよくなるというのは野焼きかまぼこでも実証されている。どら焼きは出来たてよりも一週間から10日くらい置いた方が餡と生地がなじんで味わい深くなる。



 
制作協力:高見一力堂