「出雲の方言」を紹介するコーナー。
 みなさん、「ズウズウ弁」ってご存知ですか? 出雲の方言、「出雲弁」の別称です。「出雲弁」と言うよりも「ズウズウ弁」の方が通りがいいみたいですね(インパクトが大きいせい?)。
 では、「田舎言葉・ズウズウ弁」の日常会話をご披露いたしましょう♪(出雲へお越しの際には、ぜひ使ってください)
 併せて、出雲弁サイト「出雲弁の泉」もご覧下さい。登録語数も豊富で、しかも発音まで聞けちゃうんですよ♪
○出雲弁 ○標準語訳
〜あじのえ 十六島(おっぽぉ)のう
〜味のよい 十六島(うっぷるい)ノリ〜
「なぁんと 今年の のーちみも終わったねぇ。 もうちぃと、つまれぇかと思っちょったねェ。」 「とうとう、今年のノリ摘みも終わってしまったね。もう少し摘むことができると思っていたのに。」
「そげだがね。えま おもても あじきなて えけんわ。あのなのか(7日)のふだがね。」 「ほんとにね。今思っても残念なのは、今年の1月7日のことだったね。」
「ほんね。あのふまで なぎでなぎで、そちのまぁた島は、ろうちき のうがついちょうだけんのう。このびんなら あしたもなぎだと思ちょったら、あげな しけだ。じいさんち、じいよっか。どげしたふだっただらかのう。」 「あの日まで凪(なぎ)で、あんたの家のまるた島(個人用の島)には、ノリが、たくさんついていて、このぶんなら、明日も凪でたくさん摘めると思っていたらあの暴風。ことに、13日、14日は、いったいどうした日だったでしょうね。」
「そうでものう、めじあげは わぁかったども、ハギノウ100グランが、4,800円てて、えーねだがの。」 「でもね。水揚げは悪かったけども、ハギノリ100グラムが4,800円なんて、とてもいい値段でしたよねえ。」
「おん、シボシも、100グラン4,500円ならえーねだじね。」 「それに、素干しノリも100グラム4,500円なら、良い値段ですよ。」
「そげえぃわゃ。去年は、豊作びんぼで、100グラン1,700円だっただけんのう。たえそとれて ええだえ わりだえ わからんの。」 「そう言えば、去年は、たくさんとれたけれど、豊作貧乏というのか、100グラムが1,700円でしたからね。たくさんとれるのがいいのやら、わるいのやらわかりませんね。」
「こなえだ、大阪ん子ね ハギノウ送ってやったら、たいした喜んでからね、しぐ電話ごいたがね。」 「この間、大阪にいる子供に、ハギノリを送ったら、たいそう喜んで、すぐ電話してくれましたよ。」
「おなし ノウでも、おっぽぉノウは なんててかんてて えわれん味だぁけんのぉ。」 おなじノリとはいっても、十六島ノリは、なんとも言われん味ですからね。」
「あちめしね ハギノウの しぃえもん。あごがもげぇやながぁ。」 「あたたかい御飯に、ハギノリの吸い物、本当に、アゴがはずれるうようにおいしいですからね。」
「もかし、松江のとのさんが、ハギノウでカミシモ こさえて、江戸のとのさんの前で、そのカミシモちぎって くわっしゃったら、江戸のとのさん、おべらっしゃったげなが。」 「昔、松江の殿様が、ハギノリでカミシモを作って、江戸の殿様の前で、そのカミシモをちぎって食べられたら、江戸の殿様は、びっくりされたということですよ。」
「おそみたえな ほんとの話だのお。そうねしても、ノウはバクチみたぇなもんだわな。はらてのしねは、わからん くろがああけんのぉ。」 「まあ。うそのような本当の話ですね。でも、それにしても、ノリは、天気次第でバクチのようですね。平野部の人には、この苦労がわからないでしょうよ。」
「そうでも、ことしゃ、みんなまめで ノウ はいだだけん、えとせなならんわな。」 「それにしても、今年は、だれも無事で、ノリ摘みができて、幸せと思うわななりませんわねえ。」
 
※「出雲のことば早わかり辞典」(牧野辰雄氏著)に掲載されているコラム「こばしま」を引用させていただきました。コラム「こばしま」は、「平田だんだん」の会で昭和60年から平成2年まで発行されていた季刊情報紙「平田ふるさと情報」に掲載分と、「平田ふるさと情報」の編集委員の一人でもあった地元童話作家の常松秀延先生のオリジナルな書き下ろしを転載したものです。
 ”こばしま”とは、平田弁で「昼食と夕食との中間食で午後3時〜4時ごろの食」と言う意味で別に「はしま」とも言われいます。