| ○出雲弁 |
○標準語訳 |
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〜ふだおっつあん〜
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〜札打さん(注)〜
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| 「あっ。あしこ。ふだおっつあんが通らっしゃあわ。」 |
「ほら、あそこに、札打さんが通っておられるわ。」 |
| 「どこねぇ。」 |
「どこにおられるの。」 |
| 「あしこだがの。お前の目は どこに ちいちょうかい。」 |
「あそこの所だが わからないの。あんたの目は、いったい どこについているの。」 |
| 「あっ。ほんね。ふだおっつあんだのう。」 |
「ああ 見えた 見えた。ほんとうに札打さんだね。」 |
| 「だれんも よんで こか。」 |
「じゃあ、みんなを呼んで来ようか。」 |
| 「えが えが。こにんじのほうがよけ もらわれけん えが。」 |
「そんなことせんでもいいよ。人数が少ない方が、土産がたくさんもらわれるから。」 |
| 「ほねや。ほんなら そげ しいか。」 |
「ほんとうにそうですね。じゃあ、呼ぶことはやめようか。」 |
| 「たいぶ こっちえ きちゃったぞ。おまえ さき えった。」 |
「ほら、だいぶん こちらの方へ来られたぞ。さ。お前さん、先に言いなさいよ。」 |
| 「えんや。お前から さき いいだが。」 |
「いや いや。わたしは、あとから言うからあんたが 先に 言いなさいよ。」 |
| 「ほんなら おらが いいけん おまえ あとから ちいて きたよ。」 |
「それじゃあ、わたしが先に言うから、あんたは、あとから つけて言いなさいよ」 |
| 「おん。」 |
「はい、はい。」 |
| 《ふしをつけて呼びかける》 |
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「ふだおっつあん。ふだおっつあん。めんめ がっしゃい。めんめが なけらにゃ ぜんぜ がっしゃい。ぜんぜが なけらにゃ たかばち とって なあげえぞ。」
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「札打さん。札打さん。お菓子をくださいな。お菓子がなかったら、お金をくださいよ。お金がないようなら、あなたがかぶっておられる笠を取って、投げますよ。」
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| 《札打ち だんだん近づく》 |
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| 「ふだおっつあん。ふだおっつあん。めんめ がっしゃい。めんげが なけらにゃ ぜんぜがっしゃい…。」 |
(繰り返す) |
| 「あら こらまた、にくたらしやな。ええ こだねえ。さ、さ。て ださっしゃい。えぇこしてあそぶだじねえ。」 |
「まあ、まあ これはこれは。にくたらしいことを言うけど、いい子じゃないか。さ、手を出しなさい。お菓子をあげましょう。なかよくして遊ぶのだよ。」 |
| 「だんだん。あぁがとさんで ござえまし。」 |
「はい。ありがとうございます。」 |
| 「まじ まじ。じょうじね、れぃえってからね。えのちで えぐあいに しちけて ああはながのう。」 |
「まあ、この子たちは、じょうずにあいさつが出来ることよ。きっと、家で、立派な躾がしてあるのだね。」 |
| 「ふだおっつあんも きいちけてね。さぇなら。」 |
「札打さんも、気をつけて行きなさいよ。さようなら。」 |
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(注):「札打さん」とは、出雲33箇所のお寺へ、お札を納め、家内安全を祈ることで、近所の人が連れだって歩いた。田植えがすんだころに、行われることが多かった。 |