「出雲の方言」を紹介するコーナー。
 みなさん、「ズウズウ弁」ってご存知ですか? 出雲の方言、「出雲弁」の別称です。「出雲弁」と言うよりも「ズウズウ弁」の方が通りがいいみたいですね(インパクトが大きいせい?)。
 では、「田舎言葉・ズウズウ弁」の日常会話をご披露いたしましょう♪(出雲へお越しの際には、ぜひ使ってください)
 併せて、出雲弁サイト「出雲弁の泉」もご覧下さい。登録語数も豊富で、しかも発音まで聞けちゃうんですよ♪
○出雲弁 ○標準語訳
〜すぃこねぇ
〜水に潜る〜
「えまんごうの 子は すぃこねえこと 知らんのう。おじじが 子どもんときゃ すぃこねて さざえとったぁや あわび とったぁやしたもんだじ。」 「今ごろの子供は 水にもぐることができないなあ。おじいさんが子供のころには、水にもぐって、さざえをとったり、あわびをとったりしたものなのに。」
「ホーン。どこで およぐこと ならったかね。」 「どこで、泳ぐことならったの。」
「そらあの 大門(だいもん)てていい 大けな 大けな えけがあってのう。そこで、なちやしんねなぁと およいだもんだわな。」 「それはね大門(注)という大きな大きな池があって、そこで夏休みになると、泳いだもんだ。」
「そげん きれぇな めじだったかね。」 「その池は、そんなに きれいな水だったの。」
「えんやだわな。なねぶん 田ねえれぇ めじだけん きちゃねことだわな。」 「いやいや。なんといっても田に入れる水のことだから、きたないことだったよ。」
「どげな かっこで およえだかね。」 「どんな 格好で泳いだの。」
「かっこうの くそのてて ああせんわな。あそんじょう さぁまたのまんまで およえだわな。」 「格好といっても何のことはない。遊んでいるさるまたのままで泳いだよ。」
「さぁまたてて なんかね。」 「さるまたというのは何ですか。」
「おん。えまの パンチだわな。めじで さあまたに えろが ちくだけん たまにゃ にいで おちふうで やったのう。」 「うん。今のパンツだよ。このパンツが、どろ水で色がつくので、時には、なんにもはかないで 泳いだものだ。」
「すぃこねえてて、めじに もぐうことかね。」 「すぃこねえてて 水にもぐることですか。」
「そげそげ。すぃこねえことは あんがい めつかしけんのう。そうね、なかなか えきが ちぢかで、えちも めじのんだもんだわな。めじから あがぁと からだじい おげがはえちょってのう。きちゃねことだったわなあ。」 「うんそうだ。水にもぐることはけっこう むずかしいもんだ。それに、なかなか息が続かないので、いつも、水を飲んだものだ。水から上がると 体中おげが生えて、きたないことだった」
「おげてて なんかね。」 「おげとはなんのこと。」
「そら、からだじいね はえちょう こめ毛に どろめじが ちいて、ちゃえろに なあことだがの。」 「うん、それは、体中に生えている小さい毛に泥水がついて、茶色になった毛のことだ。」
「おじじみたぇね はやこと すぃこねぇことが できぃと えねなあ。」 「おじいさんのように、早く、水にもぐることができるといいなあ。」
   
  (注):大門とは平田市小境町中ノ手の本性寺の下にある池。
 
※「出雲のことば早わかり辞典」(牧野辰雄氏著)に掲載されているコラム「こばしま」を引用させていただきました。コラム「こばしま」は、「平田だんだん」の会で昭和60年から平成2年まで発行されていた季刊情報紙「平田ふるさと情報」に掲載分と、「平田ふるさと情報」の編集委員の一人でもあった地元童話作家の常松秀延先生のオリジナルな書き下ろしを転載したものです。
 ”こばしま”とは、平田弁で「昼食と夕食との中間食で午後3時〜4時ごろの食」と言う意味で別に「はしま」とも言われいます。