「出雲の方言」を紹介するコーナー。
 みなさん、「ズウズウ弁」ってご存知ですか? 出雲の方言、「出雲弁」の別称です。「出雲弁」と言うよりも「ズウズウ弁」の方が通りがいいみたいですね(インパクトが大きいせい?)。
 では、「田舎言葉・ズウズウ弁」の日常会話をご披露いたしましょう♪(出雲へお越しの際には、ぜひ使ってください)
 併せて、出雲弁サイト「出雲弁の泉」もご覧下さい。登録語数も豊富で、しかも発音まで聞けちゃうんですよ♪
○出雲弁 ○標準語訳
〜たぶっさんが くもう
〜旅伏山(たぶしさん)が曇る(注)
「こら こら こら。また はじめたかや。ほんね。おまえやちゃ まえねち まえねち けんんかばっかぁしてからねぇ。」 「こら、こら こら。また始まった。ほんとに お前達は毎日 毎日けんかばかりして。どうしたことだ。」
「そげん。 おらが 本 見ちょったら、たけしが とおけんだわね。」 「だって、ぼくが 本を見ていたら たけしが 本を取るから けんかになったんだよ。」
「たけしは おととだらがね。なかよししえ見いだがね。」 「たけしは 弟だろう。仲良くして本を見るんだよ。」
「ほーら しぐ、おととの味方になってかぁね。」 「ほら、すぐ 弟の味方になって…。」
「また 口ごたえ したわ。おまえは あんさんだらがぁ。そうね このざまは なんだかぇのう。まぁじまじ らしがねがの。こうがおまえやちの ざしきかや」 「また、お前が口ごたえをする。お前は 兄さんだろう。それに、このへやの ようすは なんだい。まあまあ、ちらかして だらしがないねえ。これが、お前達の 部屋かね」
「ほらみぃ。たけし、おまえがちらかすけんだのう。」 「ほら、たけし。お前がちらかしたから叱られるがのう。」
「そげん おらばっかぁ ちらかいちょせんがねぇ。」 「そんな。ぼくだけがちらかしているのじゃないよ。」
「なにいぃ。口ごたえしいか。」 「なんだと。お前、口ごたえする気か。」
「なに えっちょら。おまえが わりがのう。」 「何言っているんだい。兄様の方が悪いのだよ。」
「なにいぃ。」 「なんだと。」
「こら! どげんしたもんだ。そげね大はえごんして。こらっ! やめぇだが。」

「こらっ。どうしたことだ。そんなに大さわぎして。もう けんかやめないか。」

「ほーら、えんまに、たけしの 旅伏さんがくもうぞ。ほらほらくもうだいたぞう。」 「ほら、今に たけしの目からなみだが出るぞ。ほら ほら、目がくもり出したぞ。」
「なに えっちょらぁくもうもんか。」 「何言っている。なみだなんか出すもんか。」
「くもった くもった旅伏さんがくもった。」 「やぁい、くもった くもった。旅伏さんがくもった。」

「あいけえ。もうやめえだが。はやこと 外へ出えだ 出えだ。ああ ほにょって 出てごえたわ。こうで ばくらとしたわ。ほんね けんかばっかぁしてからね。」

「ああ、もう やめなさい。早く外へ出て遊びなさい。ああ、やっと外へ出てくれた。これで ほっとしたわ。ほんとに、まあ けんかばかりして。」
   
  (注):「旅伏山がくもる」とは、平田地域で旅伏山に雲がかかると、まもなく雨が降るので、子供達の間では涙ぐんで今にも泣き出す直前の様子を言う。
 
※「出雲のことば早わかり辞典」(牧野辰雄氏著)に掲載されているコラム「こばしま」を引用させていただきました。コラム「こばしま」は、「平田だんだん」の会で昭和60年から平成2年まで発行されていた季刊情報紙「平田ふるさと情報」に掲載分と、「平田ふるさと情報」の編集委員の一人でもあった地元童話作家の常松秀延先生のオリジナルな書き下ろしを転載したものです。
 ”こばしま”とは、平田弁で「昼食と夕食との中間食で午後3時〜4時ごろの食」と言う意味で別に「はしま」とも言われいます。