「出雲の方言」を紹介するコーナー。
 みなさん、「ズウズウ弁」ってご存知ですか? 出雲の方言、「出雲弁」の別称です。「出雲弁」と言うよりも「ズウズウ弁」の方が通りがいいみたいですね(インパクトが大きいせい?)。
 では、「田舎言葉・ズウズウ弁」の日常会話をご披露いたしましょう♪(出雲へお越しの際には、ぜひ使ってください)
○出雲弁 ○標準語訳
〜まんくせんさん
〜万九千さん(注)
「こな えもっちぇね。どこへえかっしゃぁかねぇ。えらい ちちぎれて。」 「おい おい。分家さんだないか。どこへ行くのかね。大変にあわてこんで。」
「あっ。だぁかと おもったら 本家の おっつぁん。そげん ちちぎれちょうせんだども、さぶなって そうでだわね。」 「あっ。これは これは、だれかと思ったら、本家のおじさんですか。そんなにあわててはいませんが、寒くなったからですよ。」
「ほんね さぶなったのぉ。おら もう 外へ 出えときゃ 手ねごで ほおかぶうせな 出られんが。」 「本当に寒くなったのう。わたしは外へ出る時は、手ぬぐいで ほおかぶりしなくては、寒くて外へ出られないよ。」
「そげだわねぇ。あしたは からさでさんだけん。こら おえみあれえ だわね。」 「そうですわねえ。それにしても 明日は からさでさん(注)ですからね。この 荒れ方は おいみさん荒れですね。」
「ほう。もう そげんなぁかいのぉ。からさでさんの まちいがしんと、万九千さんだのぉ。」 「ほほう。もう そんなころになるのかね。佐太神社の お祭りがすむと、いよいよ 万九千さんだのう。」
「ほんとねねぇ。わしらが わけときゃ えまんごろ たもぎあげで。こしゃ えたし あかぎれは きれぇし。おでは しびれぇし。えや ほんね おうじょしたもんだがねぇ。」 「本当ですねえ。私たちが 若い時には 今ごろになると 田麦(高うね作り)上げで、腰は痛いしあか切れは切れるし、腕はしびれてくるし、いや、本当に 苦しんだものですねぇ。」
「そげそげ。えね おろえた はでばは ピーピーなぁしの。とう草も おえなならんし、もぎもまかにゃならん。けわしかったわのぉ。」 「そうそう。稲を下ろしたあとの稲架は、ピュウピュウ鳴るし、苜蓿をうえねばならんし、麦も蒔かねばならんし、いそがしかったことだった。」
「そうだども、ふと仕事しんと 万九千さんだもんねぇ。万九千さんねは どげなことがあっても みゃった もんだね。ちかごろはー。」 「でも、ひと仕事がすむと 万九千さんのお祭りですからね。万九千さんのお祭りは、どんなことがあってもお参りしたもんですよ。でも近ごろはねぇー。」
「ごぶさたかね。おらもだじ。あの 神立橋おりたところから めせやが ならんじょってのう。えちだい そばやで えっぱいやったら きぇたの きぇたの。足が立たんやねなって おまけね まくれて しいごだまおって あいちにゃ まえったがのう。」 「ご無沙汰しているというわけか。わたしもだ。神立橋を下りた所から店が並んでいて。いつだったかそば屋でお酒を飲んだら とたんに効きめがあって 足が立たないようになって おまけにころんで、尻をうったがあれには参ったもんだ。」
「ほんね。万九千さんが ござっしゃぁと、もう 冬だねぇ。また手が、こちけぇね。」 「本当に万九千さんの祭りがくると もう冬ですね。また、手がこごえますねえ。」
   
  (注):「万九千さん」とは斐川町出西にある万九千神社の大祭のことで、毎年11月26・27日に全国から1万9千の神々がお集まりになるといわれている。
「からさでさん」とは、八束郡鹿島町にある佐太神社の祭のこと。
 
※「出雲のことば早わかり辞典」(牧野辰雄氏著)に掲載されているコラム「こばしま」を引用させていただきました。コラム「こばしま」は、「平田だんだん」の会で昭和60年から平成2年まで発行されていた季刊情報紙「平田ふるさと情報」に掲載分と、「平田ふるさと情報」の編集委員の一人でもあった地元童話作家の常松秀延先生のオリジナルな書き下ろしを転載したものです。
 ”こばしま”とは、平田弁で「昼食と夕食との中間食で午後3時〜4時ごろの食」と言う意味で別に「はしま」とも言われいます。