「出雲の方言」を紹介するコーナー。
 みなさん、「ズウズウ弁」ってご存知ですか? 出雲の方言、「出雲弁」の別称です。「出雲弁」と言うよりも「ズウズウ弁」の方が通りがいいみたいですね(インパクトが大きいせい?)。
 では、「田舎言葉・ズウズウ弁」の日常会話をご披露いたしましょう♪(出雲へお越しの際には、ぜひ使ってください)
○出雲弁 ○標準語訳
〜えのこさん
〜亥(い)の子さん〜
「さ、今夜は えのこさんだけん餅ちくぞ。ほんごたちも出しけん え ぎょうぎ しちょれよ。」 「さて、今夜は亥の日だからお餅を搗くぞ。また、本炬燵も出すからみんな、好い行儀しているのだぞ。」
「おじじ。えのこさんてて なんのことかね。」 「おじいさん。亥の子さんというのは、なんのことですか。」
「ホンネ。えまんごうの子らちゃ 学校でもそぎゃんこと習わんだけんの。えのこさんてての じいえちがちの だいじょのえのふね、エー子どもがおまれましやね。火事があぁませんよねと えわぁ ふだわな。えのこてて、えのししのことでの、なんでも えのししは あぁがて えきものだげなが。むかしゃの、おまえらちみたえね こどもが、『えのこさんのばんね もちちえて えわわんもんは、じゃおめ、こおめ、ちの生えた こおめ」てて えって、よその家の前で、えのこえしとえって えしを ちえてまわったもんだがの。えまは、そぎゃんことしいもん ああせんだどものう。」 「ウン。本当に、今ごろの子供は、学校でこうした行事のいわれを習わないのだからわからんだろうな。亥の子さんというのは、11月の初めの亥の日に、『元気な子どもが産まれますように。また、火事が起こりませんように』とお祝いする日だよ。亥の子というのは猪のことで、猪はありがたい動物だそうな。昔はなあ、お前らのような子供が、『亥の子さんの晩に、餅搗いて祝わぬ者は、蛇産め、子産め、角の生えた子産め』と言って、他の家の前で、亥の子石という石を、ドスンドスンとついて回ったものだが、今は、そんなことをする者はいなくなったなあ。」
「えのこさんの ふね こたち出しもんかね。」 「亥の日に、炬燵を出すもんですか。」
「えまは じじらね こたち出しだども おじじが子どもんころにゃ、じいえちがちの えのふに出しと、火事がおこらんとしたもんだがのう。」 「それが、今では、いつでも好き勝手に出しているが、おじいさんが子供の時には、11月の亥の日に出すと、火事が起こらないとしたものだったよ。」
「ほうん。えのこさんてて大事なふだねえ。」 「フーン。亥の子さんの日というのは、大事な日ですね。」
 
※「出雲のことば早わかり辞典」(牧野辰雄氏著)に掲載されているコラム「こばしま」を引用させていただきました。コラム「こばしま」は、「平田だんだん」の会で昭和60年から平成2年まで発行されていた季刊情報紙「平田ふるさと情報」に掲載分と、「平田ふるさと情報」の編集委員の一人でもあった地元童話作家の常松秀延先生のオリジナルな書き下ろしを転載したものです。
 ”こばしま”とは、平田弁で「昼食と夕食との中間食で午後3時〜4時ごろの食」と言う意味で別に「はしま」とも言われいます。