「出雲の方言」を紹介するコーナー。
 みなさん、「ズウズウ弁」ってご存知ですか? 出雲の方言、「出雲弁」の別称です。「出雲弁」と言うよりも「ズウズウ弁」の方が通りがいいみたいですね(インパクトが大きいせい?)。
 では、「田舎言葉・ズウズウ弁」の日常会話をご披露いたしましょう♪(出雲へお越しの際には、ぜひ使ってください)
○出雲弁 ○標準語訳
〜アジキトギ
〜小豆研ぎ〜
「まあじ、えちまで ちばえておぅだら。はやこと ねえだが。」 「まあまあ 何時まで 騒いでいるかね。早く寝てしまいなさい。」
「そうだてて あんやが 枕投げえけん えけんわね。」 「でも、兄さんが 枕を投げるから いけませんよ。」
「おそだけんな。そぎゃんことしちょうせんわな。」 「嘘だよ。そんなことしていないからね。」
「あぁぇけえ。ほんねどげした子らちかいね。はやことねらんと、アジキトギが 山のハゲで アジキとぐ音させえぞ。だけん、はやことねぇだが。」 「ああ もう 本当にどうした子供たちだろうね。早く寝ないと小豆とぎがあの山のハゲで小豆をとぐ音をさせるよ。だから、早く寝なさい。」
「アジキトギててなんかね。」 「小豆とぎとは 一体なんですか。」
「そらな、この辺の塩津や釜浦の方にゃ アジキトギてていい ばけもんがおうげなわな。そうが、えちまでもねらん子がおうと、シャキシャキとアジキとぐ音させて やって来うちいことだぞ。」 「それはね。このあたりの塩津や釜浦には、小豆とぎという化け物がいるそうだよ。その化け物は、何時までも寝ないでいる子供がいると、シャキシャキと小豆をとぐ音をさせてやって来るということだよ。」
「ほんとかね。おら まんだ そぎゃんこと聞えたことねがのう。」 「本当ですか。僕は まだそんなこと聞いたことがないのに。」
「あぁけ。口ごたえばっかしてからね。ほんね アジキトギが来うだいわからんぞ。」 「まあまあ、口答えばかりして。本当に小豆とぎが 来るかもわからないよ。」
「おん。えがえが。どげな音しいか聞えてみてが。のう あんちゃん。」 「うん。いいよ。どんな音をするか聞いてみたもんだね、兄さん。」
「ほんとだ。ほんとだ。そら男かね、女ごかね。」 「本当、本当。ところで その化け物は男だろうか女だろうか。」
「なんでもの きれぇな声しちょう 女ごだげなじよ。」 「なんでも、きれいな声をしている女だということだよ。」
「どげなことえって アジキとぐかね。」 「どんなこと言って 小豆をとぐだろうか。」
「所によっちゃ ちがぁげながの。わしが子供ん時、聞えたのはのう。『小豆三合に米三升シャキ シャキ 小豆三合に米三升 シャキ シャキ』とえっちょったげなぞ。
ほら、ほら、なんだぇ、おかしげな音が聞こえてくうやなぞ。さ、ねぇだが ねぇだが。」
「場所によってはちがうかもしれないが、私が子供の時に聞いたのでは、
『小豆三合に米三升 シャキシャキ 小豆三合に米三升 シャキシャキ』
と言っていたそうだよ。ほら ほら、何だか変な音が聞こえてくるようだぞ。
さ、早く寝なさい 寝なさい。」
「ほんとかね。あげん おぜ話しいだねわね。ほんね ねらえんやん なあがね。」 「本当ですか。あんな おそろしい話をするんじゃないですわね。おそろしくて本当に寝られませんがね。」
 
※「出雲のことば早わかり辞典」(牧野辰雄氏著)に掲載されているコラム「こばしま」を引用させていただきました。コラム「こばしま」は、「平田だんだん」の会で昭和60年から平成2年まで発行されていた季刊情報紙「平田ふるさと情報」に掲載分と、「平田ふるさと情報」の編集委員の一人でもあった地元童話作家の常松秀延先生のオリジナルな書き下ろしを転載したものです。
 ”こばしま”とは、平田弁で「昼食と夕食との中間食で午後3時〜4時ごろの食」と言う意味で別に「はしま」とも言われいます。