「きき酒」について解説するコーナー
〜 「言葉を覚えましょう−”ニオイ”」 〜
 ひと口に欠点を探すといっても、ただニオイが悪い、味が良くないなどと表現するだけでは、「どう良いのか、どう悪いのか」が他の人に分かりません。酒のニオイを表現する言葉は専門的なものですから、当然辞書を引いても載っていません。また、言葉だけを頭で理解しても、それだけでは全く意味のないことで、実際のニオイや味について鼻と舌で覚える必要があります。そうは言っても、初心者が始めから全部の言葉を覚えることはとても無理ですから、初心者がどうしても知っていなければならない基本的な言葉だけを次に説明しましょう。

新酒ばな:「麹ばな」とも言いますが、醸出したばかりの新酒に特有のニオイで、加温(燗)するとさらに明らかにわかります。このニオイは、火入れして貯蔵すると消失します。
老香(ひねか):「熟し香」とも言いますが、古酒に特有な香りで、このニオイが強すぎるときは、「過熟」、「老ねすぎ」などと呼びますが、貴醸酒や中国の老酒(らおちゅう)では、このニオイが特長になっています。
吟醸香:吟醸酒にみられる華やかな果実様の香り、その主体は酢酸イソアミル及びカプロン酸エチル等です。
炭素臭:「炭臭(たんしゅう)」または「炭臭(すみしゅう)」とも言います。炭素の使用量が多すぎたとき、濾過が不十分で細かい炭素が残っているとき、不良活性炭を使用したときなどにつくニオイで、少なくとも3種類以上のニオイがあり、そのうちの1つはアセトアルデヒドに起因することがわかっています。
袋香(ふくろか): 上槽用袋(酒袋)の保存管理不良に起因する臭い(主に付着物の酸化で生じる)。
木香:木材(主として杉材)の香り・樽酒の香り。
ゴム臭:ゴム製品(ゴムホース・連続もろみ搾り機等)からの移り香、セライトや濾過フィルターからもゴム臭的臭いが移行することもあります。
日光臭:清酒を日向に放り出しておいたり、店頭に並べてある清酒に日光が当たったりしたときのニオイで、「日向臭」などとも言われます。経験したければ、白ビンに清酒を入れて、直射日光に2時間も当てれば、はっきりわかるでしょう。
火落香(ひおちか):清酒に、火落菌と呼ばれる細菌群が繁殖したときに出るニオイで、菌の種類によってニオイの性質が違いますが、その本体は主としてダイアセチルや酢酸と考えられます。夏、ごはんが腐ったときのニオイと、酢のニオイが混じったニオイと考えればよいでしょう。