「米」について解説するコーナー
〜 「精米」 〜

 毎年、地元・島根をはじめ全国の酒米産地から、大量の酒米がトラックに満載されて酒蔵に運び込まれてきます。農家の方が丹精込めて作り上げた酒米の出番です。さて、この運び込まれた酒米ですが、すぐに使われるわけではありません。酒蔵には酒米専用の精米工場があって、運び込まれた酒米をそれぞれの使用目的に従って区分けし積み上げます。これを適当にあちこちに積んでしまうと、無駄な作業が増えてしまい貴重な時間が台無しになります。酒米の精米は、私たちが一般的に御飯として食べている白米の何倍かの精米を必要とするものです(50%精米で、約48時間かかります)。精米機は極めて高度で、長時間をかけ、じっくりと精米をする等の工程を経て出来上がる「酒造用精米」は、玄米に対し30〜40%くらいの大きさにまで精米された、まさに小さい真珠のような酒米が作り出されるのです。
 さて、この精米を終えた白米。すぐに、洗米・浸漬をするわけではありません。精米中の白米は徐々に品温が上がってきます。このため、精米直後の白米は温度が高く、また水分含量も減少しています。この精米直後の白米を、洗米・浸漬すると通常の吸水歩合28〜30%より多くなり、以後の酒造操作が困難になります。したがって、精米後の白米は袋(紙袋、麻袋等)またはホッパーに入れて急冷を防ぎ、2週間から20日間くらい貯蔵し、温度を徐々に下げ、胴割れ(胚乳部に生じるひび)と砕米化を防ぎ、白米が安定してから使用します。これを「白米の枯らし」と言います。この枯らし期間をきちんととるためには、酒の製造計画をもとに精米の計画を立てる必要があります。要は、酒の仕込日から逆算してどの米がいつまで必要であるかを枯らし期間を含めて割り出すわけです。当然のことながら精米に要する時間も、精米歩合毎に頭の中にインプットされていないといけません。
 そして、これまた当然ながら、入荷した玄米は全て精米され、精米した白米は全て酒の仕込みに使用されてきれいに無くなってしまいます。玄米および白米が余る、または足りないという事態は、通常ではありえないことです。玄米が余る場合は精米する玄米量を間違えている(精米師)、白米が余る場合は仕込時に使用する白米量を間違えている(釜屋)可能性があります。どこでもそうですが、きちんと出来て当たり前の世界です。
 このように、精米という工程は極めて高度な技術と独特の「勘」が必要であるため、弊蔵では毎年専門の「精米師」を雇用しています。