「米」について解説するコーナー
〜 「麹米」 〜

 麹をつくる蒸米、これを「麹米」といいます。そして、それは蒸米に種麹(通称:もやし)をまき、よく混ぜ合わせます。すると、蒸米の一つ一つに種が付着し、発芽して繁殖します。繁殖してしまえば、麹そのもので麹米ではありません。つまり、麹ができるまでの蒸米、それが麹米ということになります。
 昔から「一麹、ニもと、三造り」と言われるように、麹造りはとても重要且つ難しいんです。種をまく、つまり繁殖すると、そこは麹菌だけがヌクヌク育ち得る環境とは限りません。空気中という一つの自然空間なのですから、他の雑菌類だってウヨウヨいます。
 ところが、麹菌も含めそれぞれの菌類には、「生活最適温度」というのがあります。麹菌の場合、32〜36度です。この温度にすれば、他の雑菌類は育ちにくくなります。
 そこで、麹菌の最適温度保持のために「温室」なるものを作ってあげる必要があります。それが、みなさんご存知の「麹室(こうじむろ)」なのです。この麹室、麹にとっては居心地がとっても良いかもしれませんが、人間にとっては最適温度とは言えません…。一言でいえば、「サウナ」ですね。蒸し上がった麹米が麹室に運び込まれてくる(引き込み)と、約一時間は熱さとの戦いです。まず、蒸米全体を台の上に広げ、蒸米を冷却します。と言っても、室は室温は高い上に自然放冷ときたものですから、なかなか下がるわけがありません。蒸米をひっくり返したりしながら床つけ温度になるまで待ちます。体中汗ビッショリでタオルで拭いても追いつかない状態。そして、床つけを終え布で覆うと速攻で麹室から飛び出ます。すると、冬の寒い気温(8〜10度)で、一気に汗は引きブルッと震えがきます。身体も暑い所から急に寒い所へと環境が変わり、かなりビックリしていることでしょう。ベテランの蔵人さんでもこれだけは身体にこたえるようです。
 麹こそ、「血と汗と涙の結晶」にふさわしいものではないでしょうか…(^_^;)。