「水」について解説するコーナー
〜 「有害成分」 〜

1.鉄
 有害成分として最も嫌われます。鉄は日本酒の色を濃くし褐色化し、味や香りを悪くする作用を持っています。色が濃くなるのは、麹菌が麹中に生産した「デフェリフェリクリシン」という無色の化合物の中央に鉄分が付着し、赤褐色の「フェリクリシン」という化合物になるためです。
 その他、日本酒は時間の経過とともに、ブドウ糖とアミノ酸が反応して着色し、味と香りが徐々に変化します。これを「アミノカルボニル反応」と言いますが、鉄分はこの反応も促進します。このため、酒造用水としての鉄分の許容範囲は0.02ppm以下とされています。
2.マンガン
 日光(主に紫外線)によって日本酒は科学的に変化し、着色物質を生成します。マンガンはこの着色物質の生成反応を促進します。ビン詰された日本酒を直射日光にさらすと、わずか1〜3時間で著しい着色進行が見られます。マンガンも鉄同様、0.02ppm以下とされています。
3.アンモニア、亜硝酸
 アンモニアと亜硝酸自体は酵母の栄養物となり、酵母によって消費されてなくなる成分です。ただし、これらは動物や植物の枯死体の窒素化合物が分解生成した成分であるため、これらの成分が用水中に多く溶けている場合は、水源のどこかが汚染されている可能性があります。つまり、不潔な水ということになり、醸造には適さないと考えられます。
4.有機物
 用水中に有機物が多く存在するということは、項番3と同様、動植物の腐食物が混入している可能性があります。ですから、醸造には適しません。
5.重金属類
 カドミウムや水銀などのように人体に有害な重金属類も用水には有害な成分です。許容量は水道水の水質基準以下でなければなりません。
6.細菌、野生酵母
 日本酒醸造にとって有害な微生物に汚染されている場合も醸造用としては適しません。