「島根の民話」を紹介するコーナー
〜 「酒の湧く泉(大田市久手町)」 〜
 大田市久手(くて)町大字刺鹿(さしか)字市井の山で頂上を泉が原という所があり、そこには昔、泉がありました。村のある長者に一人のまじめな下男がいましたが、毎朝、草刈りに行った帰りには、どうしたわけか必ず酒気を帯びています。不思議に思って、ある人が、
 「おまえはどうして毎朝、酒を飲んで帰るのだ」
と聞きますと、
 「山頂の泉から酒が湧き出てくるので、これをすくって飲むだけです」
と答えました。
 そこで人々は、そこへ行ってみようと出かけてみましたが、そのときにはもう酒は出なくなっていたのでした。
(島根口碑伝説集)
※「酒学事始」より引用させていただきました。発行元:(株)プロジェクト、著者:酒井董美