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〜 「泉長者(隠岐郡西ノ島町)」 〜
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西ノ島町美田の大山から南、約2キロばかり山奥へ行くと屋敷跡があります。ここは昔、あやめ新左衛門が住んでいたといわれています。彼は別に泉長者とも呼ばれていました。
彼はもともとは、ここに住んでいたわけではありませんでした。しかしある日、この近くの牛たちがいずれも酒の匂いをさせていることを知り、これは何かがあるに違いないと捜してみると、はたして近くに酒の湧き出る泉を見つけたのでした。
「これは養老の滝と同じではないか。おれが見つけたこの滝のそばにおれば、きっと楽しい暮らしができるに違いない」
彼はこのことをだれにも話さず、泉の近くに家を建てて住み出しました。
何ヶ月か経つうちに人々は、こんな噂をするようになりました。
「なんと不思議なことよ。あやめ新左衛門は、大して働かないのに、出会えば必ず酒の匂いを漂わせておる」
「本当だ。これはきっと良からぬことをして金をもうけているからに違いない」
「このままにしておくと、今にみんなに迷惑をかけることになるぞ」
そして言いがかりをつけられた彼は隠岐の国から追放されました。そして追放先の出雲の国の富田の志奈谷(しなだ)(塩谷とも=能義郡広瀬町)でも無実の罪で三年間牢獄につながれる身となりました。彼はつれづれに次の歌を作りました。
寒や志奈谷の富田の嵐 夜の寝覚めに隠岐恋し
風の便りにこのことを聞いた隠岐奉行は、哀れに思い彼を許したのです。妻子もない彼ではありましたが、再び懐かしい西ノ島の山奥の家に帰った新左衛門は、そこで結局、生涯を終えました。最近まで彼の墓は残っていたといわれています。 |
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(隠岐島の伝説)
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