製造の歴史
飲酒様式の歴史
酒器の歴史
杜氏の分布
米の産地と酒造好適米
○日本酒の醸造
精米、洗米、浸漬、水切り
蒸し
酒母と酵母
上槽、滓引き、濾過
調合、火入れ、貯蔵、呑み切り
酒質の調整、ビン詰め
酒類の定義
清酒の製法品質表示基準

飲酒様式の歴史

祭祀信仰と飲食形態
 酒宴は宗教的な儀式を祖としている。現在も宮廷の行事には祭礼酒宴の古風が見られ、婚 礼の際の「三三九度の杯」もこうした遺風を伝えるものである。
 当時の酒造技術では、アルコールの度数に限度があり、薄く弱い酒であったため、大杯を 皆でまわし飲みしていた。後の技術向上にともない、高濃度の洗練された酒に対して、銘々 杯が用いられるようになる。献盃、洗盃などのやりとりの儀式は、大杯を用いていた時代の なごりであるといわれている。
 平安朝の頃は、天皇が主催する節宴が行われ、官位、昇殿の資格を持った皇族や公卿が列 席し、まず正式な席で酒をいただき、その後管弦などの余興を添えてくつろぎながら飲むと いった趣向を組していた。
 武家の酒宴では、椀飯といわれる、椀に大盛りのご飯と酒、肴を出す方式で、のちに「盛 大なごちそう」の意に使われるようになった、「椀飯振舞」も実にこれに始まるといわれて いる。
 近世に入ると、品質向上と流通の発達で、酒宴の機会も多くなり、「つきあい酒」「茶屋 酒」といった新しい形式の酒宴、飲食形態も生まれ始めた。
 酒の嗜好、消費形態の違いは、江戸に灘の酒が移入するようになって、より変わった。西 宮の港を出た樽廻船が品川沖で積み直した後、新川の酒問屋に酒が届くまでに約20日を要 した。この間、吉野杉の樽に入って海上をゆられてくると、木の香味が酒にしみて芳醇な風 味をたたえる。江戸料理がこってりと濃厚であり、これに割り水をしてさえも剛直な灘酒の 味と香りがよく同調したといわれている。
 一方、上方は瀬戸内や日本海産の新鮮豊富な魚介類が手に入り、一方、木香のそれほど強 くない新しい酒を常態的に口にすることができたために、料理も淡白になったとされている。
 近年では、交通、運搬形態の国際化に伴って、欧米各国でも日本酒を愛飲する人々が増えて いるが、すでに18世紀には、ジャワあたりに来ていた英国人や蘭人達の間で飲まれていた という記録が残っている。現代の清酒の飲まれ方は、一層多様化し、人により季節により、 場面によって、冷酒や燗酒、塩をのせたます酒や、氷を入れたロック、カクテルなどにまで ひろがっている。更に料理と共に酒を楽しむ食卓が増え、次世代の消費動向へ変化を見せ始 めている。