蔵人は今

  • 梅酒のこと

    酒蔵はいま

    9月になると6月に仕込んだ梅酒から梅の実を取り出します。

     

     

    梅の実は、鶯宿などいろいろな品種の混ざった松江市八雲町産と、南高梅100%の雲南市三刀屋町を使います。

     

    産地ごとに収穫のタイミングが違うので、産地ごとにタンクを分けて梅酒を仕込んでいます。それぞれに途中途中で成分分析や官能評価を行って梅の漬かり具合を確認します。

     

    今回その最終チェックということで、産地ごとの梅酒を比べることができました。

     

    左が松江市八雲町産の梅の梅酒。右が三刀屋町産の梅の梅酒です。(どちらも梅、氷砂糖、酒の割合は同じです)

     

     

    八雲町産の方は色が濃く、いろいろな品種が混ざっているためか、複雑でパンチの効いた香りと酸味が飛び込んできます。

    三刀屋町産の南高梅100%の方は色が薄く、風味も穏やかだけど上品さがあってこれからの熟成が楽しみな感じがあります。

     

    この後、1つのタンクにブレンドしてさらに熟成を進めます。

  • ひやおろしのこと

    酒蔵はいま

    2023年の豊の秋のひやおろしは9月7日から蔵元出荷します。

     

    ひやおろしは寒造りの酒が夏を越し、秋風が吹くころに出荷されるお酒などと言ったりしますが、今年は9月になっても猛暑日が続く予報。とは言っても日が暮れるのが早くなり、確実に秋はやってきているようです。

     

    今年のひやおろしは、昨年と同じ日本酒度+15の超辛口に仕上げました。昨年よりボディ感が増しいっそうキレよく感じます。豊の秋らしい超辛口酒だと思います。

     

    豊の秋には「純米辛口金五郎」という辛口酒があります。甘口と言われがちな豊の秋の中でも辛口に造っているのですが、それでも辛くないと言われがちです。それならばと超辛口にチャレンジしているのが、去年からのしぼりたて、夏の生酒、ひやおろしです。

     

    豊の秋の酒造りは、米麹の使用割合が多いと言われています。これが超辛口でもコクや旨みを感じさせるもとなのでしょう。

     

    しぼりたてや夏の生酒とはまた違った、コクのある超辛口をひやおろしでお楽しみください。

     

    豊の秋 純米 超辛口ひやおろし 生詰原酒

     

     

     

  • みりんを搾ります

    酒蔵はいま

    夏の酒蔵では、地伝酒を搾ったら次はみりんを搾ります。みりんも木ふねで搾ります。

    しぼったこの時点でもみりんっぽい色のように見えますが、ここから約1年熟成させてから瓶詰め出荷していきます。

     

    ところで、米田酒造のみりんは原料のアルコールの違いで、普通タイプ酒粕取焼酎仕込タイプがあります。

    使う米と仕込み方法はどれも一緒なので、原料のアルコールと熟成度合いによって風味が異なります。

     

    普通タイプは、醸造アルコール(大吟醸のアルコール添加にも使われるもの)を使っており、クセがなくあらゆる料理に使いやすい風味のものです。

    酒粕取焼酎仕込タイプは、清酒粕を蒸留して造った酒粕取焼酎を使っています。酒粕取焼酎由来の豊かな(クセのある?)香りを持つため、より香ばしい香りをつけたり、その香りで素材の臭みを消したいときに効果的です。フランスへも輸出されています。

     

    米田酒造のみりんをまず試してみたい方は、普通タイプを。さらに極めたいときは酒粕取焼酎仕込タイプを、という感じで選んでいただくと良いかなと思います。

     

     

     

     

  • 地伝酒をしぼっています

    酒蔵はいま

    前回、地伝酒のモロミに木灰を添加してから数日後、木ふねで搾りました。

     

    しぼりたてからさっそく赤褐色になっています。

     

     

    アミノ酸と糖が多く、さらに木灰を入れることによって中性~弱アルカリ性になっているため、アミノカルボニル反応(メイラード反応)がよく進んでいるためと思われます。そのため、今この時点でもパンを焼いた時のような香ばしい匂いが漂っていますが、加熱調理するときには、ほどよい焼き色と食欲をそそる香りとなります。

     

     

    さて、搾り粕は木灰が混ざっていてとても食用になりませんので、松江郊外の茶畑の土に還っていきました。

     

     

     

  • 地伝酒の灰入れをしています

    酒蔵はいま

    7月の酒蔵は地伝酒のしぼりの時期です。

    3月に仕込んでから約4カ月発酵させていることになります。清酒は仕込んでから3~4週間程度でしぼっています。

     

    地伝酒は、しぼりの直前のモロミに「木灰」混ぜるのが製法の特徴のひとつです。

    これは延喜式にも見られる古くからある製法です。

    木灰を入れることによって酒を酸性から弱アルカリ性にし、酸敗を防ぎ保存性を高める狙いがあるようですが、料理酒としてこの弱アルカリ性と木灰由来のミネラルが抜群の効果を発揮します。(※地伝酒を現代に復活させた米田酒造の出雲地伝酒は火入れもしています)

     

    さて、島根ではサザエが7月に禁漁になったばかりです。

    ふるさと納税の返礼品で島根のサザエを手に入れる方もいらっしゃるでしょう。出雲地伝酒もふるさと納税返礼品に登録しています。

    というわけで、出雲地伝酒を使ったサザエご飯のレシピをご紹介します。

     

    材料(4人前)

    A

    ・サザエ 大3個

    ・水 2.5カップ(500ml)

     

    B

    ・出雲地伝酒 大さじ1

    ・しょうゆ 大さじ1

    ・砂糖 小さじ1/2

     

    C

    ・米 2カップ

    ・Aのゆで汁+Bの煮汁 2.2カップ

     

    作り方

    1. Aの水を鍋で沸騰させたらサザエを入れ、アクを取りながらゆでる。茹で汁はCのためにとっておく。

    2. 茹でたサザエから身を出して細かく切り、Bでさっと煮て取り出しておく。

    3. 炊飯器にCを入れ普通に炊く。(目盛線まで足らなかったら水を足す)

    4. 炊き上がったらサザエを入れて15分蒸らす。

    できたらさらに

    5. おひつに取り、小口切りのみつ葉を混ぜ合わせる。

     

     

    出典:農林水産省「うちの郷土料理」さざえ飯 島根県

     

     

  • 漬け物用酒粕 出てます

    酒蔵はいま

    今年の漬け物用酒粕の販売が始まってます。冬から春にかけて販売する(白い)酒粕と元は元は一緒ですが、これは漬け物用酒粕としてあえて熟成がすすむように貯蔵しているものですす。

    秋口までは漬け物用酒粕として販売したあとは、これを蒸留して焼酎を造ります。その焼酎は市販し、地元のかまぼこの原料にもなります。また自社のみりんの原料にもなります。

     

    この夏は豊の秋の酒粕と、それからできる焼酎その焼酎を原料にしたみりんで奈良漬けを作ってみませんか?

  • 2023年の梅酒を仕込んでます

    酒蔵はいま

    6月の酒蔵は梅酒仕込みに追われます。

     

    雲南市三刀屋町と松江市八雲町の南高を主とした青梅を使います。

     

    南高がこんなに早く採れたことはなかなかない、と三刀屋の方が言っておられましたが、例年より10日は早い梅酒仕込みとなりました。

     

    産地から集荷の連絡があったらすぐに引き取りに行き、追熟しないうちに仕込んでしまいます。

     

     

    この梅をこれから約3か月間、日本酒と氷砂糖に浸けてしっかりとエキスを抽出します。

     

     

    雲州 梅酒

  • 令和4酒造年度全国新酒鑑評会製造技術研究会

    酒蔵はいま

    先日発表がありました、令和4酒造年度全国新酒鑑評会では弊社「豊の秋 大吟醸」は金賞ならず入賞でした。

     

    https://www.nrib.go.jp/data/kan/shinshu/award/R04.html

     

    過去2年連続で金賞を取っていただけに残念でしたが、じゃあ他社と比べてどうだったのか、それを実際に利き酒して確かめられる「製造技術研究会」に行ってきました。

     

    「製造技術研究会」は酒類総合研究所がある東広島市で開催されます。これには酒造関係者のみが参加でき、出品されたすべての酒を利くことができます。

     

    会場では国税局管轄別にレーンが設定されており、↓写真右側の長蛇の列は東北地方の酒が並ぶレーン、左側の長蛇の列は灘の酒が並ぶレーンです。

     

     

    同じところを目指した酒がこれだけ並び、一度に比較できると、金賞に届かなかった部分がより良く分かります。

    豊の秋について言えば、この出品酒は仕上げの部分は多少違いますが、市販酒と同じラインで造ります。今年到らなかった部分を修正していくことで市販酒のレベルを上げていくけます。

    来年度はここに金色のタグがかかるように精進します。

     

     

    全国新酒鑑評会受賞酒ってどんな酒か味わうチャンスがあります。

    全国日本酒フェア2023令和4酒造年度全国新酒鑑評会公開きき酒会にどうぞお出かけください。

    2023年6月16日(金)・17日(土) 東京池袋サンシャインシティ

    https://sakefair.com/index.html

  • 今年好評の「しぼりたて 純米吟醸 生原酒」

    酒蔵はいま

    R4BYのしぼりたて 純米吟醸 生原酒 が特に美味しいと言っていただいています。

     

    大吟醸は別にして、モロミを搾るときはなるべく酒が取れるようにそれなりの圧力をかけて搾ります。

     

    この酒に関しては、(豊の秋の)他の吟醸酒に比べてかなり低い圧力で搾ったものなので、かなり雑味が少なくキレの良い仕上がりになってます。

     

    また、島根K-101、きょうかい1801号の2種類の酵母でそれぞれ造った原酒をブレンドしています。

     

     

    島根K-101は、いわゆる酢酸イソアミル系の酵母でこれで造る豊の秋の酒はキレが良く熟成に向く一方、香りが穏やかなため、次に挙げるきょうかい1801号の酒と比べると地味な印象になりがちです。飲みやすいけど物足りない、、、みたいな。

     

    きょうかい1801号は、華やかな吟醸香(豊の秋ではパイナップルっぽい香りに感じます)が多く出るため、口に含んだ一瞬のインパクトはある一方、香りが浮きすぎたり熟成に向かない面もあります。楽しいけど飽きる、、、みたいな。

     

    毎年それぞれの原酒の味と香りを見極めてブレンドして仕上げているのが「しぼりたて 純米吟醸 生原酒」です。

     

    今年はブレンドがハマったのかなあと喜んでいるところです。

     

    しぼりたて 純米吟醸 豊の秋 生原酒

     

     

  • 酒蔵で落語会

    酒蔵はいま

    4月29日、4年ぶりに酒蔵開きを開催しました。

     

    その中の企画のひとつとして酒蔵落語会があります。

     

    木造の雰囲気と和釜による音の反響が良いんだと、かれこれ11年もここで落語していただいています。

     

     

    お客さまからはここは普段何をする場所なんですか?と聞かれます。

     

    この場所は酒蔵の2階にあります。高座の後ろにあるのが和釜(1階に現役のものがある)で、この上に甑(こしき)を据えて蒸した米を仕込みの時まで冷ます場所ですと答えます。

     

    1階で蒸した米をここに担いで上がって、半日近く冬の冷たい空気にさらします。その後1階の仕込みタンクまでまた担いで歩きます。吟醸酒などはそうやって仕込みます。