蔵人は今

“10月” 月間アーカイブ の記事

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  • 「雲南市三刀屋町の御衣黄」

    雲州松江の風景

    ※蔵開きの会場の様子は4/15の記事になります。

     

    営業の河角です。春のソメイヨシノも散り、花見も終わりかと思いきや雲南市の三刀屋町には緑色の桜「御衣黄」が咲きます。美しい花の色をお楽しみ下さい。

    花見客の方がたくさん御衣黄を楽しんでいました。

    残念ながら4月の終わりには葉桜になってしまうので5月になると見れないので見たい方は来年お楽しみください。

    実は豊の秋にも緑の桜があります。その名前は「鬱金桜」(ウコンザクラ)です。

    「御衣黄」の仲間で緑色からピンクに変わり花がぼてっと落ちます。花柄の掃除が大変ですがその美しさも春に一度の贅沢ですね。

  • 火当てしてます

    酒蔵はいま

    蔵では火当ての作業が続いています。今年度搾った新酒を安全に貯蔵するためにとても重要な作業です。

     

     

    これは「蛇管」(じゃかん)という器具です。

    これを熱湯で満たした容器に沈めて、この蛇管の中に酒を通して加熱します。

     

     

    酒の加熱温度を67度をキープするように、長いときは3時間付きっ切りで監視します。

     

    蛇管から出てきた加熱されたお酒は殺菌されたタンクに送り込まれます。このとき蔵の中はお燗酒の匂いが充満します。

     

    タンクいっぱいまでお酒が入ったら密封して、タンクに水をかけて冷却します。

     

    このように加熱処理されたお酒は静かに熟成が進みます。

    これらの中から、夏を越した秋口に「ひやおろし」として商品化されるお酒があります。

  • R3BY 皆造とみりん仕込み

    酒蔵はいま

    4月8日、今年度すべての清酒のモロミを搾り終え、皆造となりました。

     

    今年はいつも使っている島根県産の五百万石が予想外に柔らかい年でした。米の柔らかい年は味が多すぎたり重い酒になりがちなので、吸水や追い水に苦労した年でした。

     

    またこの日は、みりんの仕込みを終え、甑倒しにもなりました。

     

    みりんは、米こうじと蒸したもち米をアルコールと混ぜることで造ります。

     

    まずタンクに溜めたアルコール(醸造アルコールや酒粕取焼酎)は外気温と同じぐらいの温度になっています。

    ここに米こうじと蒸したもち米(もち)を混ぜ込んでいき、仕込み直後の温度が45℃になることを目標にします。そのため、もちはかなりアツアツでなければなりません。地伝酒のようにダクトを使わず、人力でアツアツのもちを運ぶのでなかなかの大仕事です。

     

     

    この後も、ろ過や火入れ、蔵の片づけなどすることいっぱいですが、まずはほっと一息です。

     

     

  • 賑わいの蔵開き~2019年の蔵開きの様子~

    雲州松江の風景

    毎年行われている蔵開きがコロナ禍により、今年も中止となりました。このイベントを毎年楽しみにしているお客様のお声をいただいていますが弊社としても苦渋の決断となりました。来年こそはできるようになりたいと考えています。コロナ前の2019年に開かれた蔵開きの様子をご覧ください。

    搾りたての新酒など沢山のお酒を用意し、来ていただいたお客様は試飲ができます。

    当蔵の上濱杜氏がお酒の説明などをお客様としながら楽しんでいただけます。

    振る舞い酒をご用意してたくさんのお客様が楽しんでいます。豊の秋の良い香りが辺りを包んでいました。

    販売も行っています。この時だけの限定酒など蔵開きは大盛況の毎年賑わいを見せています。

    他の販売ブースもあり、お酒が飲めなくても楽しく過ごすことができます。

    当蔵の粕汁も振る舞いました。美味しく暖かい味に心もほっこりです♪

    飲食ができるブースもあり、楽しく会話しながら楽しいひと時を過ごせます。

    蔵の中の設備など豊の秋の造りの説明も聞けて、より豊の秋を深く知り味わうことで蔵の思いや熱量を感じていただけます。

    落語も開催し、蔵の中は笑いで包まれていました。残念ながら2022年の開催は中止となりましたが来年こそは皆様と喜びを分かち合える蔵開きができるようにしたいと思っています。

     

  • R3BYの終盤、地伝酒を仕込んでいます

    酒蔵はいま

    11月から始まったR3BYの酒造も残すとこ半月(の予定)となりました。

     

    清酒の仕込みは終わり、ただいま発酵中で、搾りを待ちます。

     

    清酒の仕込みの次は、地伝酒の仕込みです。

     

    地伝酒も清酒と同じように酒母を造り、三段仕込みをします。大きく違うのは、米こうじが清酒の2倍、掛米がもち米、仕込水が清酒の約半分という大変濃厚な造りをするところです。

     

    少ない仕込水の中で蒸したもち米と米こうじを均質に混ぜるのは難しいので、米こうじを蒸したもち米にまぶしながらタンクに送り出します。

     

     

    蒸したもち米は、蒸し場から仕込みタンクまでの約40メートルを送風機による風の力でダクトホースの中を運ばれていきます。

     

    その日はある程度高めの温度で仕込む必要があったので、ややモチモチの状態で作業を進めていましたら、ホースの中で”もち”が詰まるトラブルに見舞われてしまいました。

     

    そんな感じで仕込んだ地伝酒は、これから約3ヶ月間じっくり発酵させてから搾ります。(清酒は3週間程度)

  • 「春の訪れ~大東町 河津桜」

    雲州松江の風景

    春が遂にやってきました。営業の河角です。雲南市大東町では河津桜が見頃を迎えています。全長約1キロの桜並木で、ソメイヨシノより開花の早い河津桜が春の知らせを告げています。

    河津桜は静岡県で発見された品種でピンク色がここまで鮮やかな桜は珍しいのだそうです。

    桜を楽しんでいる方がたくさんいました。

    春の陽気とマッチしてとても気持ちが良かったです。

    ようやく寒い冬が終わり春が来ました。春の新緑や桜の鮮やかさは気持ちをリフレッシュさせてくれます。市内のソメイヨシノも蕾が大きくなっています。その模様も次回紹介したいと思っています。皆様も春をお楽しみ下さい。

  • 酒造りにゆかりのある神社~佐香神社~

    雲州松江の風景

    春も近づきを感じる今日この頃、皆様いかかがお過ごしでしょうか?営業の河角です。出雲には「酒造りの神様」として酒造業者から信仰を集めている「佐香(さか)神社」(別名 松尾神社)があります。「出雲風土記」に「百八十神集ひ坐して、御厨を立て給ひて、酒を醸さしめ給ひき。中略、故、佐香といふ」と記されており酒造りの発祥の地とされています。室町時代から続く秋季例祭が行われ、年1石(180リットル)の酒造が許可されており、濁酒(どぶろく)を参拝客に振る舞う濁酒祭が有名です。

    出雲の地に佇む雰囲気は物静かで風で木々が揺れる景色はとても印象的でした。

     

    酒造りの神様だと一目でわかります。

    石段を登って行きます。横には神社まで登れる道路があるので足腰の弱い方でも安心していけます。

    階段の途中では椿が咲いていました。ちなみに椿は茶花とも呼ばれ茶の湯文化が盛んな松江市の市花にされています。

    狛犬です。島根県は来待石(きまちいし)という松江藩主が松江城など至るところにに使っていた石材があります。この狛犬も来待石で出来ています。

    こちらが佐香神社の拝殿です。

    佐香神社の神紋です。

    こちらが本殿です。ここで神様が集まりなんと180日間、宴会を続けるそうです。私もそんな集まりがあるのであれば是非参加したいものです(笑)

    ゆっくりと佐香神社で時間を過ごし、帰路につきました。雰囲気は個人的に1番好きな神社でした。是非出雲の酒造りの神社「佐香神社」お立ち寄りください。

    島根県で開発された酒造好適米「佐香錦」は「佐香神社」から名とった由緒ある酒米です。この佐香錦を使用した豊の秋の清酒があります。酒造りの神様がいる出雲の佐香神社に想いにふけながら島根の味、佐香錦を味わう最高のひと時をお楽しみください。オンラインショップにて購入できます。是非ご覧ください。

     

     

     

  • R3BY 酒造も佳境

    酒蔵はいま

    令和3酒造年度の酒造りも残すところわずかとなりました。ついこの前、初洗いだ、とか、初甑だ、とか言っていたのに今年最後の作業が増えてきました。

    そんな3月上旬は、純米辛口金五郎や、今年は超辛口となる夏の生酒の仕込みなどで忙殺されていました。

     

    夏の生酒や純米辛口金五郎は一本の仕込みで白米1500kgを使います。そしてすべて限定吸水します。この作業には3人の蔵人で延べ6時間を費やします。限定吸水ではない方法で同じ量を洗う場合、1人で延べ2時間半で終わるので、これは相当な労力です。

     

    10kgずつ、延べ150袋に分けた米を2分後ごとに洗米機に投入します。

    2分後、洗米機から出した米を一定の温度の水に漬けます。品種や精米歩合、用途によって水につける時間が異なります。水から引き上げたらすぐに脱水して目標の吸水率になったか計量します。目標の吸水率になるまで、秒単位で水につける時間を修正していきます。

     

    豊の秋の辛口は、辛口のわりに味わいも濃いめと言われます。そもそも出雲杜氏の造る酒は全国的に麹の使用割合が多いため濃いめのようです。その中でも豊の秋はさらに麹の使用割合が多いため、独特の辛口のあじわいが生まれるようです。

     

    がっつり造った麹の味わいを活かしつつ、なるべく水の量を控えてしっかり発酵させて濃いめの辛口を造るには、蒸米が溶け過ぎないように吸水を厳密にする必要があります。そのため、大変でも限定吸水という方法を選ぶのです。

     

  • R3BY 大吟醸 袋吊り

    酒蔵はいま

    2月中旬ごろになると、全国の酒蔵のSNSなどで「袋吊りしました!」という記事がたくさん流れるようになります。

    豊の秋でも同じころ大吟醸の袋吊りをしました。

     

    酒袋を吊るすことで、重力だけでモロミから酒を滴り落とします。余計な圧力がかからないので雑味が少なくなります。その分、そこから取れる酒の量は搾り機で搾るよりとても少量になります。

    滴る酒は、時間差で斗瓶に取り分けます。斗瓶ごとに滓の量がことなるので香りや味わいも微妙に違います。

     

    さらにその後は速やかに滓引きをし、瓶火入れをして酒質を安定させ、品評会に備えます。そもそものモロミの質もですが、搾った後の処理の腕も品質を左右します。

     

    全国の杜氏はこのようにして造った酒で品評会などで腕比べをしています。

     

     

  • 島根県の冬景色~雲南市吉田町~

    雲州松江の風景

    営業の河角です。松江では晴れの日が多くなり、最高気温が10度を超えてくる日が増えてきました。日照時間も日に日に長くなり春の訪れもすぐそばまで来ています。自分の好きな冬景色を春の景色の前に紹介します。

    島根県雲南市吉田町は四季折々の自然の美しさを感じれる素晴らしい町です。雪の降雪量が多く冬景色もまた素敵な風景を見れます。2月の終わりの吉田町の様子です。雪がしんしんと降り、雪の足音と吐く息の白さ、静けさの雰囲気が大好きです。

    木々には雪が降り積り山を白く染めていました。

    歩道には雪がこんなにたくさんあります。

    除雪車が綺麗に道路の雪をかいてくれていました。安全に道路を走行できるのもこういった方々のおかげと感謝です。

    吉田町は昔から「たたら製鉄」の盛んな町でした。製鉄のモニュメントも雪をかぶっていました。

    納品先の駐車場の様子。これでも今年は少ない方で、多いときはメートルの雪が積もります。

    雪も降りやみ青空が少しずつ見えてきました。

    標高も高いので雲が目線の高さで空の色も澄みきった綺麗な青でした。綺麗な風景を見るたびに島根の素晴らしさを感じます。

    江に戻り空を見上げると綺麗な虹がかかっていました。いよいよ春がすぐそこまできています。いろんなことが世の中で起きていますが自然の美しさを感じることができる事、それが何より幸せなことではないかと考えさせられる今日この頃です。